住宅取得資金の贈与

1. 特例の概要

平成27年1月1日から平成33年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築若しくは取得または増改築等(以下「新築等」といいます。)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次のイ又はロの表の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。

受贈者ごとの非課税限度額

イ 下記ロ以外の場合

住宅用の家屋の取得等に係る契約の締結日省エネ等住宅左記以外の住宅
~平成27年12月31日1,500万円1,000万円
平成28年1月1日~平成32年32月31日1,200万円700万円
平成32年4月1日~平成33年3月31日1,000万円500万円
平成33年4月1日~平成33年12月31日800万円300万円

ロ 住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税の税率が10%である場合

住宅用の家屋の取得等に係る契約の締結日省エネ等住宅
左記以外の住宅
平成31年4月1日~平成32年3月31日3,000万円
2,500万円
平成32年4月1日~平成33年3月31日1,500万円
1,000万円
平成33年4月1日~平成33年12月31日1,200万円
700万円

(注) 省エネ等住宅とは、省エネ等基準(①断熱等性能等級4若しくは一次エネルギー消費量等級4以上相当であること、②耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上若しくは免震建築物であること又は③高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であることをいいます。)に適合する住宅用の家屋であることにつき、一定の書類により証明されたものをいいます。
住宅取得等資金の非課税の適用後の残額には、暦年課税にあっては基礎控除(110万円)を適用することができ、また、相続時精算課税にあっては特別控除(2,500万円)を適用することができます。
なお、相続時精算課税の適用は、原則として、父母や祖父母からの贈与に限られます。


2. 適用要件

イ 受贈者の要件

要件
1. 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。
(注)配偶者の父母(又は祖父母)は直系尊属には該当しませんが、養子縁組をしている場合は直系尊属に該当します。 
2. 贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること。
3. 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること。 
4. 平成21年分から平成26年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと。(平成28年分の場合) 
5. 自己の配偶者、親族などの一定の特別関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、又は、これらの方との請負契約等により新築若しくは増改築等をしたものではないこと。 
6. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充て住宅用の家屋の新築若しくは取得又は増改築等をすること。
(注)受贈者が「住宅用の家屋」を所有する(共有特分を有する場合も含まれます。)ことにならない場合は、この特例の適用を受けることはできません。 
7. 贈与を受けた時に日本国内に住宅を有していること。
(注)贈与を受けた時に日本国内に所有を有しない人であっても、次の①又は②いずれかに該当する場合は対象となります。
 ①贈与を受けた時に受贈者が日本国籍を有しており、かつ、受贈者又は贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有していたこと。
 ②贈与を受けた時に受贈者が日本国籍を有していないが、贈与者がその贈与の時に日本国内に住所を有していたこと。 
8. 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。
(注)贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、この特例の適用を受けることはできませんので修正申告が必要になります。 

ロ 住宅用の家屋の新築若しくは取得又は増改築等の要件

「住宅用の家屋の新築」には、その新築とともにするその敷地のように供される土地等又は住宅の新築に先行してするその敷地の用に供されることとなる土地等の取得を含み、「住宅用の家屋の取得又は増改築等」には、その住宅の取得又は増改築等とともにするその敷地の用に供される土地等の取得を含みます。
また、対象となる住宅用の家屋は日本国内にあるものに限られます。


A 新築又は取得の場合の要件

要件
1. 新築又は取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。 
2. 取得した住宅が次のいずれかに該当すること。
①建築後使用されたことのない住宅用の家屋
②建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの
 (注)耐火建築物とは、登記簿に記録された家屋の構造が鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造などのものをいいます。
③建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、地震に対する安全性に係る基準に適合するものであることにつき、一定の書類により証明書等により証明されたもの
④上記②又は③のいずれにも該当しない建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その住宅用の家屋の取得の日までに同日以後その住宅用の家屋の耐震改修を行うことにつき、一定の申請書等によりその住宅の家屋が耐震基準に適合することとなったことにつき一定の書類により証明書等により証明されたもの

B 増改築等の場合の要件

要件
1. 増改築等後の住宅用家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。 
2. 増改築等に係る工事が、自己が所有し、かつ居住している家屋に対して行われたもので、一定の工事に該当することについて一定の書類により証明されたものであること。
3. 増改築等に係る工事に要した費用の額100万円以上であること。